ダンナ様を妬かせる方法

「今、迷惑に思われたかも、とか思っただろ？」

「えっ？何で分かったの？」

とっさに見上げると、祐一の呆れた笑顔がある。

「分かるよ。香奈は、結婚してからの方が、よそよそしい感じがする。オレは、香奈に無理をして欲しくないだけ。普通でいいんだよ」

「普通で？」

「そう。普通で。張り切ってくれるのは嬉しいけど、そんなんじゃ疲れるだろ？家事だって、手を抜いていいんだぞ？」

「うん。ありがとう、祐一」

いつも、わたしを気遣ってくれる祐一に、結婚しても胸はときめく。

見つめ合っていると自然に笑みがこぼれ、そして唇を重ねた。

プライベートに戻れるこの時間が一番幸せ。

会社では、完全に割り切ってわたしに接する祐一も、家では『ダンナ様』の顔に戻ってくれるから。