ダンナ様を妬かせる方法

「祐一、どうしたの?」

会社ではいつも冷静なのに、いきなり壁に押し付けられて戸惑ってしまう。

反射的に逃げようとすると、祐一は壁に手を付き逃げ道を阻んだ。

「友孝と馴れ馴れし過ぎ」

「えっ?植田課長と?」.

「そうだよ。香奈があいつと、そこまで絡む理由は何だよ?」

「そ、それは仕事で祐一に……」

あっ、もしかして、さっき課長の言ってた『効果てきめん』て、まさか……。

課長ってば、最初から計算尽くだったわけ?

目の前の祐一は、明らかにヤキモチを妬いている。

「オレが何って?二人で顔を近づけてPC覗いたり、やり過ぎなんだよ」

「や、やだ祐一ってば。相手は植田課長だよ?祐一の友達じゃない」

「友達だからだよ。あいつ、香奈とは距離を置いた接し方をしろって釘を刺しといたのに。明らかにオレを挑発してる」

信じられない……。

あの祐一が、ヤキモチを妬いてるなんて。

それも、会社で……。

「祐一でも、ヤキモチ妬くんだ?」

つい出た本音に、祐一は顔を近づけて言ったのだった。

「オレが、妬かないとでも思ってた?香奈に対しては、独占欲の塊なんだけどな」