「言ったよね?危機感ないって。
言ったよね?酔っても記憶はあるって」
「……っ」
「本当に、油断し過ぎ。
好意持たれてる男を部屋に上げてる時点で、どうぞ食べて下さいって言ってるようなモンだから」
「ちがっ」
「あれは不可抗力って言いたいわけ」
「……」
「あんなんわざとだし。俺は卑怯なんです」
「……」
「俺だからいいけど…他の男にまでこうなのかもって思ったら、少し不安なんですけど」
「……俺だからって」
お前が一番危険だわ!!!
こんなん今までされた事なかったから!!!
「そうでしょ。どんだけ理性飛びそうになるのを我慢してると思ってるの。
俺じゃなきゃとっくに食べられてるって」
「食べられてませんから!!!」
「ほう?」
「もう離してっ」
「……ん」
すっと手を離すと、彼は私の上からどくと頭をがしがしと掻いた。
それから、スッと立ち上がると
「お邪魔しましたー。
明日、学校でね。真央梨」
と、ウインクを残して、さっさと部屋から出て行った。



