ジリジリと顔を近付けて来て、
「次に敬語使ったら唇奪っちゃうからね?
あ。キスしたいなら遠慮なく敬語でどーぞ」
そうやってニッコリと笑った。
「わかりました、いや、わかった。わかったから、離れて」
「えー。でも、敬語じゃなくなったからいっか。
素直に離れてあげる」
「…………」
絶対酔っ払ってる。
「絶対弱いでしょ。山本先生」
「ううん、ふわふわするけど、記憶はある」
「……って事は酔っ払ってる?」
「えへへ」
いや、小首を傾げてえへへじゃないでしょう。
大の大人が。
「じゃあ、もう今日はこれでおしまい」
「ええ。何で」
私がそう言うと、不満そうに口を尖らせる。



