「てか、下の名前は?」
「え?」
「俺、名前見るの忘れちゃったよ。何ていうの?」
「真央梨、ですけど」
「真央梨。うわあ、名前も可愛い」
「……」
「それで、敬語はー?」
「あの、もしかしてですけど、酔っ払ってます?」
さっきよりも微妙にテンション高いし、目が据わってる様な気がしなくもない。
「ぜーんぜん。まだまだイケるよ。
つか、敬語だよ。また。真央梨」
「いや、そんな無理ですって。
てか、呼び捨てにしないで下さい」
「何でー?真央梨って可愛いし。真央梨って呼んじゃダメ?」
「ダメです」
「あーまた敬語」
「敬語使わないだなんて言ってません」
会話を交わす度にちょっとずつ、彼が私に迫って来る。
それと一緒に私も後ずさる。



