視線を伏せた時に、山本先生のスーパーの袋が目に入る。
「……たくさん買いましたね」
「ん?あ、うん。俺自炊するから」
「え」
「何?意外だって?」
「はい」
意外過ぎる。
カップ麺とか、毎日食べてそうです。普通に。
大盛りとかで。
「今日は作れなかったけど、こう見えて、弁当男子です。俺は」
「えっ、本当ですか?」
「うん。俺、母親いなくて父親に育てられたからさ。
だから、料理ってか、家事全般それなりに出来るよ」
「……」
エレベーターに乗りながら、サラっと話す彼に思わず口を噤んでしまう。
そうだったんだ。
「凄いですね、尊敬します」
「え」
そう言うと、山本先生は目を瞬かせた。
あれ?私おかしな事言った?



