「……羊ですか?」
「えっと、何かふわふわしててね。
柔らかそうだな~って、えっと」
どうにか、取り繕うとするけど彼の顔がどんどんと沈んで行く。
うわあ、頭真っ白で何も浮かばない。
どうしよう。
すると、久住君がスクッと立ち上がる。
スタスタと私の前までやって来ると、ダンっと机に手を置いた。
ぎょっとしてそれを見つめる。
「先生」
「……はい」
真剣な表情。
それから、私の手を取ると自分の胸元へと持って行く。
触れた久住君の体から、ドクドクと心臓の鼓動が伝わって来た。
その緊張が伝染する様に、私の鼓動も少しずつ速さを増して行く。



