「トライアングルだし」

「それは関係ない」

「あはは」



すぐに突っ込みが来て、春斗は声を上げて笑った。
想像通りだったのだろう。


暫く笑いが収まらない春斗に、


「こらっ!山本!うっさい!」


と、怒られてぴたりと笑いを止めた。


ふんっと鼻を鳴らしながら、ビールを飲む辻先生に春斗は苦笑する。
それから、視線を落としてぼそっと呟いた。



「俺、諦められますかね」


それに、辻先生の肩がピクリと揺れる。



「ぶっちゃけまだ未練残ってます。まだ好きですよ。
あー情けねえって思うけど」



ははって自嘲気味に笑う春斗に、辻先生は優しく微笑む。



「まあ、まだ無理に諦めなくていいんじゃない?」

「……」

「とか、言わないからね」

「え?」



口をポカンと開けて辻先生を見る春斗。
辻先生はドンっとジョッキを強くテーブルに打ちつけながら置くと、眉間に皺を寄せた。