「だって、俺生徒の前に男ですから。
それに先生は先生の前に好きな相手です」
「……ありがとう。でも、それはダメ。
私はやっぱり先生だから。
だから、送ってもらうことは出来ない」
「どうしてもですか?」
「うん。それじゃ途中まで行こうか。
今日はそれで許してね」
「……わかりました」
渋々といった感じだったけど、久住君は納得してくれた様で私もホッとする。
少しだけ送って貰って、私は足を止めた。
「ここまででいいよ、久住君。明日。また」
「……はい、わかりました。明日。
あの、約束忘れてませんよね?」
「うん。話したい事があるんだよね?」
「はい」
「私もある。だから、明日話そう」
「わかりました」
そう言うと、久住君は踵を返す。
だけど、すぐに振り返り名残惜しそうに私を見つめた。
ふふっと微笑んで私が手を振ると、眉を下げながらも緩く笑って手を振り返してくれた。
久住君の後ろ姿が見えなくなると、私は自宅へと向かう。
明日、ちゃんと話さないとな。
そう、心の中で小さく呟いた。



