「あっ!逃げた!」
そんな声が背後から聞こえますが、気にしません。
絶対に私は着ません。
そして、来年は教師権限を使わない様にしようと心の中で誓った。
そうして、逃げ込んだ教室の先にいたのは。
――――――春斗だった。
空き教室だと思ったのに!
扉を後ろ手で閉めてる私に、目を真ん丸にして驚いてる春斗。
「ち、ちわっす」
思わず、そんな変な挨拶をかます私。
「は?何だよ、それ。つか、走ってどうしたの」
軽く交わす春斗に、恥ずかしさが込み上げるけど、私はなるべく冷静に返事をした。
「私のクラス、和製メイド茶室なんだけど、衣装着させられそうになったから逃げて来た」
「ああ。あれ可愛いよな」
「でしょ!?可愛いんだよ!だから、余計着れない」
「何で?」
「何でって」
その返答に私が何でだよ。
フリフリしてるんだからね。
本当に作った生徒は大変だったと思うよ。
めっちゃ可愛いんだから。
だから、男子が着ると最高に面白いんだから。