「本当に?」
そう尋ねて来たけど、俯いたままの私を見て本当の事なんだと納得したようだった。
「……まさか、そっちにいくとは」
「でも、よくわかんないんです」
「どういう事?」
「さっき、は…山本先生に私を諦めるって宣言されました」
「え」
「それで、胸が痛くなって、さっき泣いたんです。
私、久住君が好きだと思ってたのに、山本先生が好きなんでしょうか」
「……」
そこまで言うと、辻先生のビールが運ばれて来た。
そのジョッキを手にして、ううんと唸る。
「好きだって思う?」
「正直、わからないんです」
「じゃあ、何で久住君の事は好きだって思ったの?」
「それは」
その質問に私は口籠る。
何で好きなのかって、私もわからない。
ただ、久住君には変な誤解されたくなかった。
それに。
春斗に強引に部屋に連れ込まれた時、久住君の顔が浮かんだ。
ピアノを教えて貰ってる時だって、ドキドキし過ぎて頭パンクしそうだったし。



