「全く、安西ちゃんは忙しい子だね」
「そうみたいです」
「よし、飲みに行くぞ。話聞いてやるから」
「そうしましょう」
私は涙を拭うと、笑顔を向けた。
それに辻先生もホッとしたのか、眉を下げながらも笑ってくれた。
帰り支度をすると、私たちは学校を出ていつも行く居酒屋へと向かった。
席に着いて、すぐに頼むのは生ビール。
やっぱりお決まりだ。
料理を頼んでいると、生ビールが運ばれて来てカンパイをする。
「んーうまい」
「ですねえ」
「んでー?話してみなさい。お姉さんに」
「あー、えっと」
どう言おうか、口籠ってる間も辻先生はぐびぐびとビールを流し込む。
あっという間にジョッキの中身は空だ。
なんて、ペースが早い。
「どこから話そうかな…」
「ゆっくり一から話せばいいよ」
「……私、久住君が好きかも知れません」
「はいっ!?」
余裕たっぷりで聞いていた辻先生は、その私の発言に驚きの声を上げる。