「ふうん」
久住君は何かを察した様で、ニッコリと微笑むと反対の腕も鍵盤へと伸ばして、私を抱き締める体勢になった。
「く、久住君」
「何ですか?先生」
「……近いです」
「そうですか?」
「こんなとこ見られたら大騒ぎになる」
「俺はなってもいいですけどね」
「ダメです」
「先生は俺の事、どう思ってますか」
「……それは」
鍵盤に伸びていた手は私を包み込む。
それから、ぎゅうっと強く抱き締められた。
「大好きです、先生」
「……久住君」
「先生の気持ち、知りたいです」
「………」
私が口を開きかけたその時。
キーンコーンと、チャイムの音がしてそれは掻き消されてしまった。
「……」
「……すみません」
すっと、久住君の腕が私から離れる。



