「辻先生。今日、飲みに行きましょう」
「おお?珍しいね、安西ちゃんからとか」
「思いっ切り飲みたい気分なんです」
「ふうん?じゃあ、行こうか。今日も練習あるんでしょ?」
「はい」
「んじゃ、その後ね」
「はいっ」
飲み行ける。
それだけでテンションが上がる。
さっきとは打って変わって、私の気持ちは晴れやかだ。
単純、簡単なのだ。私は。
「辻先生」
ルンルン気分の私と、苦笑してる辻先生にかかった声。
その声の主は、春斗だった。
辻先生は一度私を見ると、私を呼んだ?って顔をしながら「はい」と返事をする。
春斗は私を見ずに、用件を伝えて早々に去って行く。
文化祭の事について、だったが。
一切、私に話しかけなかった春斗を見て辻先生は何かを勘付いた様だ。
鋭いんだ、この人は。



