「そういえば、春斗って目が悪いんだっけ?」
エレベーターに乗り込むと、私は隣に並ぶ春斗を見上げながら尋ねた。
黒ぶちのメガネ。
普段つけてないから、部屋用なのかなあって思った。
でも、してない時もあってどうなんだろうって。
「ああ、これ?壊されたんだよ、誰かさんに」
「………え?それって。あの」
「うん、扉でね」
「う、うわあああ、ごめん!ごめんなさい!
修理したの!?それとも新しいの買ったの!?
お金払う、出すよ!いくらだった!?」
顔面蒼白で頭を下げながら私はそう言った。
まさか、あのガンっと鳴った時にやってしまったとは。
然程あの時の事、気にしてなかったけどさ。
メガネのない生活って絶対大変だったと思うし。



