「男の人だ、ってちゃんと思ったよ」

「……先生」

「力だって全然敵わなくって、びっくりしちゃった。
私も高校生だった事あるのにね。何か、色々忘れてた。
子供扱いなんてしてるつもりはなかったんだけど、そう思わせてたんならごめんね」

「……いえ」


ふいっと視線を逸らす久住君。



「でも、私は年上であって、教師だから。
だから、大人ぶるのは当然なんだよ」

「……」

「今までの私のイメージって、そうじゃなかったかな」

「…はい、そうでした」



だからこそ、今日の定食屋での私に彼は驚いたんだ。
私が大人として、彼と接してたからこそ。



「……でも」


でもさ。


これからは、少しずつ私を見せて行こうかな。

そして、久住君を知ってみたい。



私自身、自分の気持ちがわからなくなってるから。


正直、春斗にもときめいている。
久住君にだってドキドキしてる。


好きなのか、そう考えたってわからない。


だから、知って行きたい。

それで、私はちゃんと答えを導き出したいんだ。