「何が?」
「こういう大衆食堂っていうんですか?
こういうとこ行かないと思ってました」
「え。何で」
「もっと、オシャレなとこに行ってるのかと」
「ぶっ、私が?ないない。
一人暮らしして結構経つし、普通にラーメン屋行くし。
完璧庶民だからね」
「嬉しいです」
「嬉しい?」
「はい。なんか、先生の彼氏になる人って、フレンチとか知らないと無理なのかなって」
「……久住君、それは変な幻想持ち過ぎだよ?」
私は家でビールと枝豆食べる様な女なんだぞ。
そんなどちらかと言えば、オバさんよりもオッサン臭い女なんだから。
干物だよ、干物。
「みたいです」
「幻滅させたかな」
「いえ、逆です」
「逆?」
「はい、もっと好きになりました」
「はっ!?」
久住君の目はキラキラしている。
……え、どうして。どこをどうしてそうなった。



