そして、授業中。
何回か、小声で仁菜と呼びかけるけど、
仁菜は俺とは反対の方を向いたまま、
目も合わせてこなかった。
そのまま授業が終わって
終礼も終わり、解散と言う言葉を残し、担任の杉山は教室を出て行く。
ーーそれとほぼ同時に、
仁菜が自分の席を立って、早足に教室のドアへ向かう。
「…ちょっ、待てって!」
瞬時にそう呼び止めるけど、
仁菜はそのまま教室を出て行った。
「くっそ…。」
そのまま、
軽く机を殴りつけて椅子に座る。
「あれ〜?今日は笠原さん。帰っちゃったの?」
そこに、近寄ってきたクラスの女。

