それでもなお、
無言で、なにも言わない仁菜。
「仁菜…?」
よくわからなくて、
とりあえず俯いている仁菜の頭を撫でようと、少し触れた…その瞬間。
「触んないで!!!」
今まで黙ってた仁菜が、
少し声を荒げてそう言った。
「もう、私に関わらないで。全部全部。嘘だったんでしょ?」
「は?いきなりそんなこと言われても…
「日曜日。」
それだけ言って、少し黙る仁菜。
目を少し擦ってから、
俺を見上げて言う。
「日曜日の約束も。作戦なんでしょ?次の日が最後の日だから」
「最後?わけわかんね」
作戦?なんだよそれ…。
「残念だけど私は、晴く…。片桐くんなんて大っ嫌いだから!日曜日も。いかないから」
大っ嫌い。
その言葉がひどく胸に刺さって、
少し手の力がぬけた。
その隙に、俺の手を振り払って
逃げた仁菜を追うこともできずに、
ただ、立ち尽くすことしかできなかった。