隣の校舎の2階にある科学の実験室。




階段を上って、仁菜を迎えに行こう。
そう思っていた矢先…




階段を走って降りていく仁菜を見つけた。




後ろ姿でもすぐにわかって、
名前を呼んで引き止めた。





仁菜は俺の声に反応して
ピタリと足を止めたけど、




…俺の呼びかけには何も答えず、
またすぐに、まるで逃げるかのように走り出したから





追いかけて、
力づくで向かい合わせさせた。




さっきから聞こえてくる、
鼻をすする音。




明らかおかしい。





もしかして、




「仁菜?泣いてんの?」