いけない。 咄嗟にそう思う。 泣いてるところ、 晴くんにだけは見られたくない。 そう思って、晴くんを無視して 逃げるように走った。 「仁菜!?なんで逃げんだよ」 そんな声が聞こえたけど、 逃げずにはいられない。 「待てってば!」 「…っ!」 でも、晴くんの足の速さにはかなわなくて、あっさりと腕を掴まれてしまう。 無理やり向かい合わされて、 私は、バレないように必死に下を向く。 けど、そんなことをしても 「仁菜?泣いてんの?」 …結局、バレてしまった。