今みたいに、私のこと目の敵にしている女の子はきっといっぱいいるはずなのに、
前の岩谷さんの時みたいには
誰もしてこないし。
こんな毎日が、
楽しいだなんて思い始めています…。
「仁菜!」
「あ、はいっ!」
耳元で名前を呼ばれて、
少しビックリした。
「なにボーッとしてんだよ。俺が話してたこと聞いてねぇだろ?」
「聞いてませんでした…」
やっぱり。と、
ため息交じりで言う晴くん。
「今度の日曜さ、俺と映画行かね?
チケット2枚貰ったんだけど、家にあっても使わねぇんだ」
「私と!?」
「他に誰がいんだよ」
そう言われて周りを見渡しても、
住宅街の細い道には私達の他には
誰もいない。
「いねぇだろ?な、返事は?」
「…うん。いいよ」
「決まりな。日曜お前の最寄り駅に1時。忘れんなよ」
ニッと笑う晴くん。
その笑顔に、
私もつられて笑顔になった。