「は、晴…くん。」
「ん。」
仁菜が俺を名前で呼ぶ声が、
すげぇ嬉しい。
名前を呼ばれて嬉しいだなんて
こんなこと思ったのは初めてだ。
「苦しい…よ」
「…あ、悪りぃ」
思わず腕にも力が入っていたことに気づいて、そのまま仁菜を離す。
薄暗い中でも、はっきりわかるほどに
仁菜の顔は真っ赤。
下向いてるけど、丸わかりだからな。
それを見ていると、
また自然と口が緩む。
「仁菜、俺のこと…嫌い?」
それは、無意識に出た言葉。
そう聞くと、
仁菜は驚いたように顔を上げた。
…と思いきや、
顔の近さにビックリしたのか、
返事もないまま、
一瞬でまた俯いてしまった。

