ーーーー帰り道
「仁菜、言おうと思ってたんだけどさ」
そう言いながら、突然歩く足を止めた。
「なに?」
私もそんな片桐くんに合わせて足を止めて、ななめ上を見上げる。
「悪かった…」
「…え?」
突然謝られて、ビックリする。
「桃に、嫌なことされたろ?男に襲われかけてたって聞いた…」
「ごめんな。気づいてやれなかった」
そう言うと、申し訳なさそうに少し顔を歪める。
「そ、そんなっ、謝んないで!私まだなにもされてなかったし、松浦くんも助けてくれたから」
だから片桐くんが謝ることなんてないと
わかって欲しくて、
私なりに必死で伝える。