「行くぞ。仁菜」
「ちょっと片桐くん!」
ぐいっと腕を引っ張られて、
そのまま引きずられるかのように連れて行かれる。
「冬華ーーーーー!!」
まだ教室にいる冬華に助けを求めても、
今日はデートらしくそれどころじゃなさそうで。
「片桐くん。痛いよ…」
「あ、悪りぃ。」
ハッとしたかのように手を離された。
まだ結構人がいる廊下は、
もちろん女の子もたくさんいて
片桐くんと一緒に歩いている
私への視線が痛い。
「も、もう。早く行こっ」
今度は私から片桐くんの袖を掴んで引っ張った。
こんなとこ、いてられない。