「笠原さん。おはよ」
「あ、おはよ。松浦くん」
隣では挨拶を交わす祐大と仁菜。
あれ?この2人。
挨拶なんかする仲だっけ?
俺がそう思ったのに勘付いたのか、
祐大がちょっと来い。
と俺を引っ張って、教室から出た。
黙って歩いていく祐大について行く。
「なんだよ。」
祐大の足が止まったのは、
人があまり通らない各教科の資料室前の廊下。
俺が聞くと、祐大は少し黙って何かを考えてから、口を開いた。
「昨日、男に襲われそうになってた笠原さんを助けた。」
思ってもみなかった言葉に、
一瞬だけ体が固まった。

