そんな俺に気づいた仁菜は、
少し考えたような素振りをした後
「おはよう。片桐くん」
「お、おはよ。」
それから少し笑って、
自分の席へ座った。
え?ちょ、待て。
仁菜から挨拶してきた。
こんなの初めてだ。
最近なんか、完璧に避けられてたのに。
しかも、ちょっと笑ってた。
そう思うと、なんだか胸のあたりがむず痒くなってきて、顔が緩む。
「おーっす、晴!珍しいな。お前の周りに女の子いねぇとか」
祐大に背中を軽く叩かれて、
ハッとする。
「んだよ。考え事か?珍しー」
「別に。んなもんじゃねぇよ」
とりあえず座ろう。
そう思って自分の席の椅子を引く。

