でも私は、そんな彼が大の苦手で、
なるべく関わらないようにしてるつもりだし
こんなずば抜けた容姿も特徴もない私になんて、片桐くんが興味を示すこともなく。
このまま、平凡にこのクラスでの1年を過ごそう。
そう思っていたのに。
「仁ーー菜!」
私の肩を軽く叩いて、空いている前の席に座ったのは
今ちょうど考えていた、片桐晴。
一週間くらい前から、何かと絡んでくるんです。
本当に突然で、いきなり今みたいに名前呼び捨てで呼んで、肩に手を回してくるし。
何回拒絶しても、近寄ってくる。
「なあなあ、今日の仁菜。なんかいつもと違わねぇ?」
そう言って、なんのためらいもなく顔を覗き込んでくる片桐くん。
か、顔、近いって…。
「何もかわってないです」
ちょっと睨みつつ、体を後ろに倒して避ける私に、そう?とニコニコ笑ってくる。
「向こうの女の子たち。みんな片桐くんのこと待ってるんじゃない?」
「あー、あれね。ほっといていいから」
ダルそうにそう言うと、私の机に肘をついて、見つめてくる。
さっきまで、窓辺で片桐くんといちゃついてた女の子たち。
凄い怖い目で見て来るんですけど…。

