「片桐くん!送ってくれてありがとうね」 私がそう言うと、どこか納得しないような表情の片桐くん。 「片桐くん…?」 「晴。俺の名前、晴だけど?仁菜。」 晴…。 あ、そう言うことか。 名前で呼べってことだよね。 「えっと、は、晴…くん。」 「んー」 私がそう呼ぶと、嬉しそうに笑う晴くん。 「寒いから、気をつけて帰ってね。」 「おう。」 …そう言ったっきり、引き返す素振りもなく立ったままの晴くん。