「私…、私ね」
がんばれ。…がんばれ私。
それでも中々出てこない言葉。
もう一度だけ、深呼吸をして勇気を振り絞った。
「私、片桐くんのことが…っわ!?」
好き。
そう言う前に、片桐くんに腕を引っ張られて椅子から立たされたかと思うと、
そのまま引き寄せられるように抱きしめられる。
「もう無理。」
「…え?」
無理…って、どういう意味?
もしかして…
その言葉の意味に対して、
嫌な想像をした時
「もう無理。黙って聞いてられねぇ。好きだ、仁菜」
片桐くんの言葉によって、その不安や想像はかき消された。
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