教室の壁に掛けてある時計を確認する。
そろそろだな。
そう思った直後、
予想通り教室に入って来る姿を見て、
周りにいた女も桃も、振り払って近づく。
「よ。仁菜!」
「おはよ」
わざわざ俺が目の前にまで行って挨拶してやってるってのに、
無表情でおはよだけ言うと、完全スルーで席に向かう仁菜。
それを追いかけて、俺も自分の席である仁菜の隣に座るが、
「ちょ、待てって」
俺が座ったのとほぼ同時に、
仁菜は席を立って、あいつの友達の早見の所へ行ってしまった。
この完璧な避けられぶり。
ここ数日は、特にひどい。