「え?」
よくわからなくて、周りを見渡しても
この廊下にいるのは私と目の前にいるこの子だけ。
「あんな程度でコケるなんて。
ダサすぎでしょ。」
さっきの優しい笑顔は消えて、
今度は意地悪い顔で笑う女の子。
「あたしは8組の岩谷桃(いわたにもも)今あんたに足引っ掛けたの。あたしだよ?」
「な、どうしてこんなこ「あんたが生意気だからでしょ」
「あんたが晴にしつこく言い寄るから。
いい迷惑なのよ!!」
私の言いたいことなんてお構いなしに、
ただひたすら喋り続ける岩谷さん。
「私、言い寄ってなんかないし!」
「とにかく、これ以上晴に近づかないで。晴の彼女はこのあたしなんだから」
「そうじゃなきゃ、
タダじゃおかないから」
それだけ言い残すと、
岩谷さんは去っていった。
1人廊下に取り残された私は、
ただボーッとすることしかできなかった。
やっと我に帰ったのは予鈴が鳴った後で、
急いで教室に戻ると、待っていた冬華に何をしてたのか聞かれたけど、
私はなにも言えなかった。

