「あの、ね。私は…」 ーーーージャリ。 私が話し始めたのとほぼ同時、 ジャリっと砂を踏む音が聞こえて、ビクつきながらも音がした方に目をやった。 「か、片桐くん!?」 そこには、もうとっくに帰ったと思っていたはずの片桐くんが、傘を持って息を切らしながら立っていた。 この状態を、片桐くんに見られたくない。 直感的にそう思って、 祐大くんと距離を取ろうとするけど 背中に回された手はなくなったものの、 かわりに腕を掴まれて離れられない。