「びっくりしたろ??」
「そんな、だっていきなりだもん!」
「悪りぃ悪りぃ。こっちに歩いてきたら仁菜の姿見えたから脅かしてやろうと思ってさー」
ほんと、心臓止まるかと思った…。
「仁菜、今帰り?」
「うん。そうなんだけど…」
「もしかして、傘ねぇの?」
空を見上げた私を見て気付いたのか、
祐大くんがそう聞いてきた。
「そうなんだー。今走っていこうかなって思ってたとこ」
「じゃあ俺んとこ入ってけよ!折りたたみだから狭いけど、ないよりマシだろ?」
鞄から傘を取り出して、ほら!と私に見せてくれる祐大くん。
「じゃあコンビニまで、お願いします。」
「オッケー!…って、仁菜、その手に持ってんの何?濡れるぞ?」
「あ…。」
祐大くんに言われて、ずっと数学のテストを握りしめたままだったことに気付いた。

