嘘つき男子の愛し方





「…痛っ!!?」





間一髪。
咄嗟に足が動いて片桐くんの足を踏んだ。



一瞬の隙を見て、
壁と片桐くんの間から脱出。




「…ごめんなさい!」





落としていた鞄を拾って、
痛がっている片桐くんを置いて




一目散に学校を飛び出した。




全速力で駅に向かうと、
運良く発車寸前の電車に乗れた。




これならきっと片桐くんは乗れていないだろうし、助かった…。




少し安心しつつも、
ちょっと申し訳ないような気もする。
けどそんなの片桐くんが悪いんだから。




こんなに胸がドキドキしてるのも、
走ったからだ…。きっと。









次の日の朝。




覚悟して家から出たものの、
片桐くんは待っていなかった。




昨日あんなことしちゃったし、
もう私のことなんて興味なくなっちゃったかな?




そう思ったのもつかの間。




学校に着くと、片桐くんは
何事もなかったかのように絡んできて、




悪いことしたかな。なんて、
少しでも気にかけた私がバカでした。