「仁菜の1日、俺にくれねぇ?」
「え!?」
予想もしなかった言葉に、反射的にすごく情けない声が出てしまった。
「1日だけ。…もし、その1日で仁菜の心が少しでも俺に動かなかったら。そん時はきっぱり諦めるからさ」
1日。それってつまり、デート…。
それを聞いて、前に片桐くんに映画に誘われた時のことを思い出した。
…結局は行けなかったけど。
「うん。わかった」
よく考えてもいないまま、私はそう返事を返していた。
「よし。そうと決まれば、必死で数学教えねぇと!!」
そう意気込む片桐くんを見て、
私の方まですごく嬉しくなったのは、何でだろう…。