「お前がどう思ってようと、あいつのことは渡さねぇから。」
それだけ言い残して、教室を出ていこうとすると、後ろから祐大の声によってまた呼び止められる。
「前、仁菜と仲直りできるように協力してやっただろ?あの時、俺が今回だけは手助けしてやるって言ったの覚えてる?」
「覚えてる。今回だけはとか、変な言い回しだったからな」
「今度からは容赦しねぇってことだよ。いくら相手が晴でも。」
「…そうかよ。」
そのまま、振り向かずに教室を出た。
内心、少し動揺しながら。
それを紛らわそうと、
更衣室以外では着替え禁止とかルール考えた奴誰だよ。
…なんて関係ないことを考える。
あ。そう言えば、
仁菜に写真送るって言ったよな。
ポケットから携帯を取り出して画面を見ると、ちょうど仁菜との写真のままだった。
俺の隣で少し照れたように笑う仁菜の姿。
この笑顔を、絶対誰にも渡したくない。
そう心から思った。

