どうして?
どうしてここまでするの?
「ほら。帰るぞ」
突っ立っている私の手を引いて歩き出そうとした片桐くんの手を、
逆に引っ張り返した。
「…っ!!仁菜?」
ビックリしたかのように振り返った片桐くんを、精一杯睨む。
「私。帰らない」
「は?」
「片桐くんとは帰らない。」
少しの沈黙の後、
黙って立ち尽くしていた片桐くんが、
少しずつ近づいてくる。
「ちょ…なに!?…っ!」
後ろに逃げていると、
冷たい壁が背中に当たった。
壁に手をついて、私を挟むように
もたれかかる片桐くん。
…これじゃ、逃げれない。
「なに…する気?」

