「祐大?」





祐大くんの顔を見ながら、
眉を寄せる片桐くん。





「晴…が、仁菜のこと連れてったっきり姿が見えないって聞いたから。」





「もともと仁菜と文化祭回る約束してたんだ。別に何もおかしくねえじゃねぇか。だろ?」





「まあ…そうだけど」





じっと祐大くんを睨むような視線で見る片桐くんに対し、
何か考え込んでいるように黙り込んだ祐大くん。






「それに、仁菜が誰と回ってようが関係ねぇだろ。祐大には。」





「つうか、教室の片付けとかあるんじゃねぇの?」





黙ったままの祐大くんに、
それだけ言うと、私の手を掴んでスタスタ歩き出す片桐くん。





歩幅的に、片桐くんの早足だと
私の場合小走りになってしまう。





「ちょ!片桐くんっ、待って。」





「いいから。あんなのほっとけ。」





私が声をかけても相手にされず、
やっと私が小走りなことに気付いてくれた時には、もう私たちの教室の前だった。