きっと、すごくびっくりした顔をしてるだろう私を見て更に笑いながら
このうさぎを手に入れた経路を話し出す片桐くん。
なんでも、コスプレプリクラをやっている1年生に借りてきたらしい。
「1年にはこのうさぎ、俺が被ってるって誰かに言ったら承知しねぇって言ってあるし、これならバレないだろ」
すごい自信満々な様子でニヤッと笑う片桐くん。
でも、バレないだろ…って、
「それ脅しだよ…。可哀想に」
「大丈夫。大丈夫だって!」
そう言いながら、片桐くんはベンチから立ち上がると、着ぐるみの物がつかみにくそうな手で私の手を取った。
「それよりはやく行こうぜ。焼きそば、食いてぇんだろ?」
メイドとうさぎ。
これはこれで結構目立つんだけど、
誰もうさぎの中が片桐くんだとは思わないみたいで、
さっきからずっと、
消えた片桐くんを探しているっぽい女の子たちすら、横を素通りしていった
片桐くんとじゃなく、うさぎと一緒にいる私に対して、少し嫌な笑みを浮かべながら。

