「仁菜。すぐ戻ってくるから、ちょっとここで待ってろよ?」 それだけ言うと、私の頭をわしゃわしゃっと軽く撫でてから 少し急ぐように片桐くんは校舎へと入っていった。 ーー片桐くんの姿が見えなくなって、 今までふわふわしていた気持ちが、 だんだん正気に戻ってきた。 ずっとうるさいままの心臓。 手を当てなくてもわかるほどにドキドキしてる…。 こんなんじゃ、今日1日。 もたないよ…。 なんとかして気持ちをしずめようと、 少し冷たい風で心を落ち着かせた。