……あつい。





さっきから、少し前を歩く片桐くんに掴まれたままの右腕。





模擬店の人ごみの中。
はぐれないようにってしてくれてるんだろうけど…





まるで、全身の熱が全てそこに集まってるみたい。





「仁菜!何食いてぇの??」





歩きながら、少し振り向いた片桐くん。





「えっと、あ!焼きそばっ。美味しいって冬華が言ってたから!」





去年は、終わりの時間ギリギリに食べたから冷めてて美味しくなかったんだよね。…なんて思いながら、




この凄い人混みの中で、聞こえにくいだろうから少し大きめの声で言った。





「了解」





そう聞こえて、人混みを避けながら焼きそばの屋台の方へ歩いていく片桐くんの後ろをついて行っていると、





ーードン!





「…っわ!?」





いきなり立ち止まった片桐くんの背中に激突してしまった。