ずっと引っ張っていた仁菜の腕を離して振り返ると、肩で息をする仁菜がいた。 「か、片桐くん。早いよ歩くの!」 「あ、悪い。つい…」 つい、カッとなって早足になってしまっていたことに今さら気づかされた。 まだ息を荒げている仁菜の肩に手を置いて、目線を合わせる。 「大丈夫?あいつらに腕掴まれて、他何された?」 「大丈夫。他は、何もされてない」 「そうか。よかった…」 その言葉を聞いて、本当に安心した。