「あれ、見てよ。凄いねみんな」
冬華がそう言いながら顔を向けたのは女子の群れ。
そして、その円の真ん中に見えたのは片桐くんの姿。
「片桐くんの執事服の採寸だってさ。みんな燃えすぎ」
みんな、誰がどこの採寸をするか争ってるみたいで、
それを見ている冬華の顔には、少し呆れた笑みが浮かんでいる。
「さーて、はやくメニュー書いちゃいますか!」
「そ、そうだね!」
意気込みを入れて、作業に取り掛かる冬華とは反対に、私はまだ目を離せないでいた。
やっぱ。人気者だもんね。
…そう思いながら、ぼーっと女の子たちの和を見つめていると、
その女の子の群れをかき分けて、和の中から片桐くんが出てきた。
そして次の瞬間、バッチリと目があった。

