「ーーちゃん!…ねぇちゃん!!聞いてる?」
強めに肩を叩かれて、ハッとした。
「あ、えっと…なに?」
「さっきからぼーっとしすぎ。本当に、俺の姉貴はバカでどうしようもないなー」
やれやれ…。とリビングのソファにもたれかかりながら、ため息をつくのは中3の弟、智希(ともき)。
「…うん。ごめんね」
智希に対してそう返す私の様子を
お父さんとお母さんの2人がびっくりした顔で見てくる。
「仁菜?さっきから変よ?もしかして…体調悪いの?」
そう聞いてくるお母さんの言葉に
私は黙って首を横に振った。
「な、なんか変だぞ仁菜。いつもなら智希に言い返して、毎日喧嘩してるじゃないか」
そう聞いてくるお父さんからは、
いつものダジャレ好きでふざけている様子は少しも感じ取れない。
「そ、そうだよ。なあ、ねぇちゃん?…大丈夫?」
中3になってもまだまだ子供っぽくて、いつも私に意地悪しかしない智希でさえ、私のことを心配げに見つめている。
みんななんか変だ…。いつもと違う。
ぼーっとした思考回路でそんなことを考えるけど、
きっと1番いつもと様子が違うのは、
私なんだろう。