息を切らしながら教室の前までつくと、ドアの窓越しに椅子に座っている仁菜の姿が見えた。
これは大チャンス。
ここで逃したら、もう謝れる機会はないかもしれねぇ。
一旦深呼吸して、乱れた呼吸を整えた。
ーーーーガラ。
「遅かったね、祐大く…」
俺が教室のドアを開けると、その音に反応して振り向く仁菜。
「…え?なん…で…っ?」
目を大きく見開いてこっちを見てくる。
「仁菜。」
「私、祐大くんにここで待ってろって言われててそれで…」
「俺が仁菜と話できるように、祐大がわざと仁菜をここに呼んだんだ」
俺がそう言うと、
信じらんないと慌てだす仁菜。
「私、帰る」
鞄を掴んで教室から出ようと、ドアの方へ歩き出した仁菜の腕を無理やり掴んで引き止めた。

