「まあ、いいかな。この辺まで来たら」
そう言いながらスマホで時間を確認した後、辺りをきょろきょろ見渡した。
「だからなに…「仁菜を待たせてる。」
俺の言おうとしたことが、
祐大の言葉でかき消された。
「は?どこで!?」
「教室で。今から教室行けば、ちょうどみんな帰って、他に誰もいねぇし。二人きりになれるだろ」
「これがおれのいい考え!ほら。早く行けって晴。謝りたいんだろ?」
祐大に、ポンと肩を押された。
一瞬止まっていた思考が、
また動き出す。
…そうだな。
せっかくの機会だ。
使わせてもらうしかねぇな。
「ありがとな、祐大」
「おうよ!」
今まで歩いてきた道を引き返して
学校まで急いだ。

