「先生!それよりはやく行かねぇと、アメリカ帰っちまうぞ」
祐大くんが先生の肩を軽く押した。
「…っ。ありがとう。松浦くん。笠原さんも。」
涙を拭った玲子先生は、
そのまま教室を出て行った。
先生の走る足音が、
完全に聞こえなくなった後
祐大くんが、
へなへなと床に座り込んだ。
「あー…。やっぱり、生徒は生徒。叶うわけねーよな」
「玲子先生。多分俺の気持ち気付いてたよな…。だから、さっきも仁菜に話してくれたんだろうな…」
ぽつりぽつりと言う祐大くんの言葉に、
なんて返すべきか、思いつかない。
それ以降、祐大くんも黙り込んで、
静かな教室に、
祐大くんの鼻をすする音だけが響く。
そう…!とりあえずテッシュだ!
咄嗟に鞄からポケットティッシュを取り出して、座り込んでいる祐大くんにゆっくり近づいた。

