大嫌い。
仁菜から聞いたのは2回目。
罰ゲームのことが知られてしまったあの日にも、仁菜に言われたな。俺。
『大嫌い』なんて、今まで腐る程女に言われてきたのに…
泣きながら睨まれても、
全然平気だったのに。
「…クソッ。」
ただ怒りに任せて近くにあったバケツを蹴り飛ばそうとしたものの、
祐大くんは、こんな乱暴なことしない
って仁菜の言葉が頭をよぎって
寸前で足を止めた。
あんなことするつもりじゃなかったのに。
ただ…仁菜に謝りたいだけだったのに。
何してんだよ。俺。
一人取り残されて静かな階段が、
ますます俺に惨めさを感じさせた。

