嘘つき男子の愛し方





「あのー。」





予測通り。私たちの前で足を止めた男の人が、少し遠慮がちに口を開いた。





大人っぽい雰囲気にぴったりな低い声。





高校生の私たちとは違う
落ち着いた男の人に、
私は少し見とれてしまっていた。





「田中先生はどちらですか?」





見とれていたのもつかの間。
その名前を聞いて、ハッとした。





「田中先生!?」





びっくりしたのは、きっと私だけじゃなくて祐大くんもなんだろう。





少し驚いたような声で、
そう祐大くんが聞き返した。





「田中…玲子先生。どこにいるか知らないかな?」